顕微鏡根管治療広島
2023.6.7
綿が残っていた根管治療のやり直し|左下第二大臼歯の根管充填 2023.06.07
矢印:左下第二大臼歯の再根管治療を行います。
以下の記事においてもこの歯についてケースレポートしています。
「フロスの繊維が溜まった?|かぶせものを除去したら内部から綿が出てきたケース 2023.04.08」
「歯の中から綿球?|メタルコアを除去した根管内部から綿球が出てきたケース 2023.05.10」
実際の左下臼歯です。矢印の歯が左下第二大臼歯です。
画像右隣の左下第一大臼歯は左下第二大臼歯の支台築造が終わったら治療に取り掛かります。
ラバーダムクランプで挟むのが困難な歯ですが、小臼歯用のメタルクランプを用いて装着します。
仮封除去後の状態の顕微鏡ミラー像ですので上下が逆転しています。
歯科治療はミラー像との闘いです。
顕微鏡を覗いているとわずかな動きでも視野&ピントが狂いますので、動きの少ない患者さんは神の様に感じます。
画像左側が近心頬側根管で、右側が近心舌側根管です。
近心舌側根管には過去のメタルコアセット時に形成されたと考えられる半月状の切削痕があります。
続いて遠心根管の顕微鏡ミラー像です。
記事上部でリンクを貼った記事にも書きましたが、亀裂が存在しています。
この度の治療では支台築造とかぶせものによる接着でヒビが拡がらないように対処します。
ごくわずかに排膿がありますが、「打ち止め」に相当する最後に出てきた量と判断できますので根管充填に進みます。
完全に排膿が無くなるまで待つことも考えられますが、そもそも根尖病変は根管清掃・根管消毒によって
生体による自然治癒を期待するものであります。
このケースのように前回の治療から1週間以上経って仮封を除去して確認した際に、
内部にごくわずかだけ排膿していたとすれば、それは根管充填時期になってきたと言えます。
完全に排膿が無くなるのを待っても構いませんが、その場合、最後の治療とその一回前の治療との期間は、
膿が出ないことを確認するだけの期間となり合理的ではないと私は考えています。
(治療回数が一回増える&その治療費がかかるため)
前回まで3根管の根管形成を終え、根尖のサイズも決定していますので、本日再確認します。
電気的根管長測定を行って、根尖(歯根の先端)までの到達を確認している場面です。
次亜塩素酸ナトリウムとEDTAによる有機質と無機質の洗浄を終えましたら
超音波水流によって十分にリンスし、滅菌ペーパーポイントで吸水乾燥します。
水酸化カルシウム系のシーラーを少量根管口に置いて、
サーマフィルのシステムにて垂直加圧根管充填を行います。
天然ゴムの一種であるガッタパーチャとポリスルホン樹脂のコアで出来ています。
遠心根管は楕円形につき加圧不測を防ぐため2本挿入しています。
1本目が根尖まで到達し、2本目は材料を補い加圧する役割です。
ダイヤの粒子のついていない球状のバーを回転させ、摩擦熱で余分なキャリアーをカットします。
次回、支台築造を行います。
このあと綿球を置いて仮封(かふう)します。
垂直加圧根管充填後のレントゲン写真です。
画像右隣に親知らず(左下第三大臼歯:智歯)が見えています。
抜歯しておくことが好ましい状態です。
ちなみに治療前の状態です。
根管充填材がほぼ無い状態の根管に、メタルコアがセットされ、かぶせものがセットされています。
T・Eさん、後で少し痛みが出るかもしれませんのでお大事に。
いつもブログ記事をご覧いただきありがとうございます。
広島市の自由診療専門歯科 三好デンタルオフィス