顕微鏡根管治療広島
2023.2.11
膿の出ていた右上側切歯の再根管治療を行いました。2023.02.11|やり直し|広島
初診時の状態です。
右上側切歯が再根管治療途中とのことで初めて来院されました。
デュラシールと考えられる軟性レジンで仮歯が形成されていますが
見た目の問題からお友達との会食は断っているとのことです。
次回、根管充填の予定とお聞きしましたが、膿の出口である瘻孔(フィステル)が形成されたままになっています。
初診時のデンタルレントゲン写真です。
神経を取ることになったのはかなり前とのことですので、再根管治療の途中と考えられます。
再根管治療を行うにあたって、過去の支台築造を取るために
根管を逸脱した方向に誤ってドリルを進めてしまったドリル痕が見受けられます。
初診時にオフィス内の歯科用で撮影した立体画像です。
歯根の先端である根尖(こんせん)部分には病変が存在して骨吸収を起こしています。
なにはともあれ、人と会える仮歯が生活の質のためにも必要です。
午前中の初診時には作業時間がなかったため、夜にもう一度来院していただき仮歯を作成します。
まずは装着されていた古い仮歯を取りました。
仮着材を用いず機械的維持力で保持しているため境い目への漏洩は確実ですので
内部は大変汚染されています。(顕微鏡動画画面撮り)
「外れた時に臭いがぶわっとしました。」とのことです。
仮歯撤去直後の状態です。
ここから概形成してセレックで仮歯を作成します。
セレックプライムスキャンでスキャニングして迅速にデザインします。
レジンブロックから削り出します。
削り出し中に一旦根管内を確認します。
埋まっていた綿栓(綿の棒)を引く抜くと大量の排膿がありました。
過去の支台築造のファイバーポストの残骸が出てきました。
入っていた綿栓&出てきたファイバーポストのガラス繊維の残骸です。
根管内はとりあへず薬液洗浄して次回からの再根管治療に備えて封鎖しました。
この間にミリングマシンでの削り出しが終わりました。
仮歯をセットして初日は終了です。
後日、再根管治療を行い、フィステルの消失と排膿が治まってきましたので本日根管充填を行います。
写真は電気的根管長測定を行っている場面です。
上顎前歯の場合、オプトラゲートで口唇を圧排してバキュームを併用することで唾液の汚染を防ぎます。
途中のうがいは原則なしで、どうしてもの際には即座に一旦仮封してうがいしていただきます。
根管内に唾液を入れないためです。
2種類の薬液洗浄を行い、有機質・無機質を洗浄したあと、超音波水流でリンスし滅菌ペーパーポイントで吸水乾燥します。
シーラーとサーマフィルを用いて垂直加圧根管充填を行います。
根尖孔サイズの1本目(赤)を根尖まで到達させ、2本目(黄)を挿入して加圧不足を防ぎます。
上顎前歯の根管は楕円形である事が多いためです。
垂直加圧根管充填後のデンタルレントゲン写真です。
先端から出ている水酸化カルシウム系のシーラーはフィステル痕から排出されるか
体に吸収されるか、そのまま存在するか、患者さんによって経過が異なります。
根管を逸脱したドリル痕は、前回までにコンポジットレジンで充填しています。
茶筒状のドリル痕は、根管充填材であるガッタパーチャを緊密に充填できない可能性があり
死腔(空気が残っている部部分)を残してしまう可能性があるからです。
次回、問題なく経過していれば支台築造を行い、最終的にはセラミック修復します。
K・Yさん、この歯の経過が落ち着いてくれて私も嬉しいです!
広島市南区の自由診療専門歯科 三好デンタルオフィス