口腔外科処置広島
2023.6.1
痛くて眠れない歯の抜歯|膿が溜まっていた左下奥歯 2023.06.01|広島
初回治療時の状態です。
左下奥歯(第二小臼歯:矢印)が痛くて眠れない状態になっておられます。
歯科用CTによる立体画像です。
歯根の先端に膿が溜まって歯根の先端が吸収して短くなっています。
歯根が短くなっているということは咬合圧に耐え得る限界が低くなっているということです。
すでに神経の処置がなされている失活歯であり、膿の溜まっている範囲が大きく、歯根吸収も起こしていることから
総合的に予後不良(治療したとしても今後良くなる可能性が低い)であるため
早期に確実に痛みが無くなる治療方法が適切であることから抜歯をご決断です。
かぶせものをグリップして動かしますと
内部の歯根は真っ黒になって朽ちており容易に折れました。
ピンク色に見えていますのは根管充填材であるガッタパーチャ(天然ゴムの一種)です。
続いて歯根も動かして抜歯しました。
膿の袋が一緒についてきていることが判ります。
抜歯した左下第二小臼歯です。
かぶせものはレジン系(プラスチック系)のかぶせものです。
レジン系のかぶせものは容易にすり減ることで咬み合わせが狂い、汚れもつくため、
口腔内で長期の使用には適していないと私は考えます。
弊オフィスでは仮歯としてのみ用いている材料です。
家族に出来ない治療は患者さんにも致しません。
安くついたように見えても、後々の事を考えると高くつく治療方法といえます。
結果として歯科医院の利益に繋がります。
歯根は真っ黒になっています。
歯根の先端(=根尖:こんせん)は炎症による破歯細胞によって吸収が起こっており、本来の形を失っています。
膿の袋が一緒についてきています。
抜歯窩(ばっしか:抜歯後のくぼみ)の状態です。
内部に残っている炎症性の肉芽組織は抜歯時にしっかり掻爬(そうは:こさぎ取ること)することが重要です。
炎症性の肉芽組織が残ったままの状態ですと、健全な骨再生を妨げ、肉芽による治癒となってしまい
その後にインプラント治療を行う際に骨が無い状態になってしまいます。
いわゆる抜きっぱなしはいけません。
抜歯後に掻爬することは基本中の基本であり、例外はあり得ません。
(炎症性の抜歯後に掻爬がなされていないケースに遭遇するため、語気を強めて書いています)
抜歯窩挿入用の抗生物質の錠剤(TCコーン)を砕いたものを挿入します。
血餅(けっぺい)の保持のため、吸収性のゼラチンスポンジ(スポンゼル)を挿入します。
血液が抜歯創を治してくれますので、血液の貯留は大切です。
TCコーンとスポンゼルを挿入しました。
因みに抜歯した部分の左隣もレジン系のかぶせものです。
CO2レーザー(炭酸ガスレーザー)を照射して表面を凝固させます。
周囲の歯肉にも照射することで遠赤外線効果による治癒促進効果を期待します。
CO2レーザーを照射した後の状態です。
表面の炭化して黒くなっている部分は自然に剥がれ落ちていきます。
炎症がひどくない場合は抜歯と同時に骨移植材を填入するソケットプリザーベーションを行うこともありますが
このケースでは眠れない痛みもあり、炎症の程度も強いことから、異物を挿入して痛みが続く可能性を避けるため
スタンダードな抜歯後の処置を行っています。
この部分にインプラント治療をする場合は最低でも2か月は治癒期間を空けてCT撮影を行い骨の治癒の状態を確認します。
その時点で骨が不足している場合には骨増生処置を行います。
H・Nさん、よくぞご決心なさいました。
直後はやはり痛いと思いますが、必ず改善しますのでお大事に。
広島市の自由診療専門歯科 三好デンタルオフィス