口腔外科処置広島
2024.4.3
歯根の先端が炎症を起こしていた大臼歯の抜歯 2024.04.03|根尖病変|膿の袋
初診時の左上第二大臼歯の状態です。(矢印)
症状が出ておられ、他院にて根管治療中の状態です。
いかなる状態からでも弊オフィスに来て頂いて問題ありません。
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オフィス内のCTによる歯列に合わせた断面画像です。
歯根の先端に黒く写る炎症像(根尖病変)があり、いわゆる膿んでいる状態になっています。
この歯が原因で過去に副鼻腔炎になったとお聞きしました。
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頬側口蓋側での断面です。
骨が溶け、黒く見える炎症像が歯根の分岐部(股の部分)にも及んでいます。
白く見えるのは根管充填材料です。
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少しずらした画像です。
骨硬化像も見られるため、慢性的に時間をかけてこの状態に陥ったと考えられます。
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デンタルレントゲン写真です。
この歯のようなケースでは、2次元のレントゲンでは診断が困難であると言えます。
3次元的診断が可能なCTが必須です。
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歯根分岐部まで炎症が及んでいることから、治療により改善する可能性は残念ながら低いと考えられます。
体に慢性的な炎症を残しておくと、血管を通して心臓にも悪影響を及ぼします。
ご相談の上、抜歯をご決断です。
私は本音でしか患者さんにご説明いたしません。
助からない歯を、あたかも助かるかのように言って不毛な治療を行う「ビジネス歯科医」にはなりたくないからです。
妻や子どもにする治療のみを行います。
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表面麻酔と注射による局所麻酔を行い、ヘーベルで歯を動かしていきます。
顕微鏡動画からのGIF動画です。
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抜歯鉗子でグリップして慎重に動かして抜歯します。
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口蓋根の先端には膿の袋が判りやすく付いて出てきました。
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他の歯がこうならないようにすることが、今から出来る最も大切なことであり、この歯の供養になると考えます。
1.神経(歯髄)を取らないで済むように、むし歯にしないようにする→ブラシ・フロスでのお手入れ
2.残念ながら神経を取るのであれば、最初の治療で拗らせないように適切な処置を受ける→歯科医師選び
この2点に尽きます。
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抜歯後の穴(=抜歯窩:ばっしか)にはまだまだ大量の炎症性の肉芽組織が存在していますので
しっかりと掻爬(そうは:掻き出すこと)します。
これだけの炎症性組織が、再根管治療によって回復すると考えるのは現実的とは言えません。(個人の見解です)
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取り残しの無いように、顕微鏡下で確認しながら行います。
抜歯自体よりも、肉芽組織をしっかり掻爬することの方が大切です。
このように私は一日中顕微鏡を覗いて治療し、ビデオ・写真を撮っています。
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抜歯窩の掻爬を終えました。
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ここからは止血処置に移ります。
コラーゲンスポンジを挿入して血液の貯留を助けます。
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抜糸不要な吸収性の縫合糸で縫合します。
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本日の治療の終了時です。
ご体調もきっと良くなると信じています。
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M・Mさん、よくぞご決断なされ、頑張られました。
このブログもかなり昔の記事からご覧いただき光栄です。
この歯の記事が、どこかでお困りの方のお役に立つことを私も願っています。
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広島市の自由診療専門の歯科 三好デンタルオフィス