口腔外科処置広島
2024.3.22
歯根破折した左上第二小臼歯を抜歯して骨増生処置を行いました。2024.03.22
広島市の自由診療専門歯科 三好デンタルオフィス 代表 三好龍治 です。
画像中央:左上第二小臼歯が割れています。(歯根破折)
他院にて、かなり昔に神経の処置およびセラミックインレー(セラミックのつめもの)治療を受けられています。
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この詰め物のような内側性のインレーは、噛むことによって歯にクサビを打ち込むような関係となり、歯が割れるようなストレスを与えてしまいます。
加えて、神経(歯髄)を取ってある失活歯は、歯髄の血流による栄養補給が絶たれるため、徐々に脆くなってしまいます。
つまり、脆くなっていく歯にクサビを打ち込むという二重に過酷な環境に陥り、その結果割れています。
残っている歯質の厚みや咬合圧負担を鑑みて、負担が大きい場合には、咬合面をカバーするように修復して、術後に歯質が割れないように保護しておくことが大切です。
そのためには、「かぶせしろ」のために切削が必要ですので難しい問題です。
少なくとも、「歯を削らない=良い治療」ではありません。(個人の見解です。)
割れてしまったら抜歯の可能性が極度に高まるため、弊オフィスでは患者さんにメリット・デメリットについてご説明しています。
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局所麻酔後に慎重に動かしていきます。
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まずはセラミックインレーが取れました。
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続いて口蓋側の割れていた部分を取り出します。
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最後に残りの部分を抜歯しました。
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抜歯した歯の状態です。
この深さまで割れていると健全歯質は少しだけですので、この歯を抜かずに残して治療するというのは
現実的ではないと私は考えます。
割れている部分には細菌が浸入してきますので、両隣の歯のリスクも高めてしまいます。
もっと浅い部分で割れていれば、助かる可能性はあったかもしれません。
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抜歯直後の穴(=抜歯窩:ばっしか)です。
周囲及び内部には炎症性の不良肉芽組織が残っていますので、顕微鏡下で切除および掻爬(そうは)して取り除きます。
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不良肉芽の除去を終えました。
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ここからはインプラント治療に備えて、骨のへこみ(骨吸収)を防止するための骨増生処置(ソケットプリザーベーション)を行います。
骨化するスピードが早い・遅い2種類の骨移植材を準備します。
抜歯後には廃用性萎縮が起こり、骨が凹んでしまうことがあります。
しかし、インプラントを植える際には骨の厚みがある方が予後も良好です。
つまり、凹むのを出来るだけ防止する処置がソケットプリザーベーションです。
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2種類の骨移植材を混ぜます。
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抜歯窩に骨移植材を填入しました。
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コラーゲンシートを準備して保護に用います。
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コラーゲンシートを掛け布団のように掛けました。
血液を吸って馴染むことで骨移植材が流れ出ることを出来るだけ防ぎます。
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抜糸不要な、体に吸収される縫合糸を用いて縫合しました。
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コラーゲンシート及び吸収性縫合糸は自然に吸収されていくため取る必要はありません。
3~6ヶ月待って、治癒した部分にインプラント治療を行います。
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N・Hさん、まずは抜歯をよく乗り越えて頂きました。
治癒期間は食べにくいと思いますがお大事に。
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広島市の自由診療専門の歯科 三好デンタルオフィス