セラミック歯科広島
2020.10.31
膿(うみ)が出ていた神経(歯髄)を保護し神経を取らず治療しました。2020.10.31
右下第一大臼歯が咬合面および近心面が虫歯になっており、咬んだ際の痛みも出てきておられます。(2020.10.22)
中学生でいらっしゃるため、虫歯の進行が速い恐れがあります。
一般的に若年者は歯髄腔が広く、歯質の成熟度も低いため、
虫歯が短期間で重度になりやすい傾向があります。(幼若永久歯)
ただし、若年者は成人および高齢者に比べ、歯髄(神経)の活性が高いため、
虫歯に対してタフに対応してくれる側面もあります。
虫歯はすでに歯髄(神経)に及んでいるようにも見えます。
虫歯は咬合のエナメル質から内部の象牙質に開通すると内部で大きく広がっていきます。(う蝕円錐)
頬舌的な断面図です。
咬合面(歯の上部)から進行している黒い部分がむし歯で、
歯の中央部の黒い部分が歯髄(神経)の入っている歯髄腔です。
応急処置として咬合面をコンポジットレジンで封鎖しました。(2020.10.22)
その後、痛みが増大してきたとのことで処置を急ぎます。(2020.10.24)
応急処置で封鎖したことにより、歯髄からの排膿や滲出液が漏れ出ることを妨げてしまい、
歯髄内圧が高まり痛みが増大したと考えられ、歯髄までむし歯が及んでいることを示唆することとなっています。
デリケートな処置をしますのでラバーダムを装着して、唾液による汚染を防ぎます。
応急処置のコンポジットレジンを取り除き、う蝕検知液を塗布して虫歯(軟化象牙質)を染色します。
顕微鏡(マイクロスコープ)画像です。
う蝕検知液の染色と切削を繰り返していきますと、歯髄腔から排膿(うみが出てくること)してきました。
滅菌ペーパーポイントで触ってみます。
乳白色で粘稠性(ねんちょうせい)の膿が出てきています。
残念ながら、これは歯髄を取らなくては(神経取る)ならないかと思われましたが、、、
出血があるということは、歯髄(神経)がまだ死んではいないという事です。
滅菌ペーパーポイントで膿と血液を吸収していきましたら、膿と血液は止まり、浸出液もほぼ出ず、
肉眼的に健康と思われる歯髄組織が見えてきました。
若年者であることを考慮し、歯髄を保護して回復を期待し、神経取らずに済むように祈ることとします。
当然ですが、出来るだけ可能な限り、神経(歯髄)は取りたくありません。
歯への血流が無くなり、生木から枯れ木のように栄養供給が無くなり、経時的に脆くなってしまうからです。
神経取るのはいつでも出来ますので、望みを捨てずに治療します。
※ギリギリの判断は治療中にご説明と相談をします。
未成年の方の場合は、ご本人に加え保護者の方にもご説明と相談をします。
仮封セメントで保護して、痛みが出ないことを祈ります。
これで痛くなりましたら、神経を取る選択をします。(2020.10.24)
その後、激しい痛みは出ず、状態も落ち着いているとのことで安堵します。
※現時点で痛みが出ていなくても、歯髄が徐々に死んでしまう歯髄壊死が起こる可能性があります。
歯髄が助かったかどうかは、長いスパンで判断する必要があります。
乾燥状態でセラミック修復物を接着し、咬合調整と仕上げ研磨を終えました。(2020.10.31)
※未成年の方の治療は、保護者もしくはご親族の方の治療履歴がある場合のみとさせていただきます。
※ケースバイケースの治療につき、必ず同じように治療できるとは限りません。
M・Kさん、この歯が無事に治ってくれることを願っています。
広島市の自由診療専門の歯科医院 三好デンタルオフィス
※厚生労働省 医療広告ガイドライン に沿うための記述
すべての歯科治療は、治療行為によって治癒や改善が約束されているわけではなく、状態の悪化や後遺症の発生、抜歯や死亡を招くリスクを伴います。※治療費用の例示・根管治療を伴う普通再治療約20万円(かぶせもの除去・メタルコア除去・根管治療・根管充填・レントゲン・支台築造・かぶせもの)・普通セラミックつめもの約6万円・普通セラミックかぶせもの約8万円・普通セラミック前歯約13万円・普通抜歯約1.7万円・普通レジン充填約1万円(税抜)