口腔外科処置広島
2015.6.6
歯根を抜かずに残す処置をしました。歯根の顎骨内温存処置2015.06.06
歯根破折の状況によっては折れた部分を含め、歯そのものを抜歯せざるを得ない状況があります。
奥歯のように、インプラント治療で容易に回復できる部分では、抜歯してインプラント治療が適応と考えますが、
前歯1本だけのような審美治療で出来るだけインプラント治療を避けたい部分においては、
折れて残っている歯根の部分を温存しておくことが望ましい場合があります。
すべて抜歯してしまうと、顎骨および歯肉が萎縮吸収して形が変わってしまうことがあるからです。
形が変わってしまいますとブリッジのような固定式治療を行うにしても審美的な回復の難易度が高まります。
欧米では以前から用いられている治療手法です。
※ケースによっては前歯でもインプラント治療が容易で好ましい場合もあります。
上顎前歯6本が神経の処置とかぶせものでの修復が過去になされています。
メタルコアではなく、ガラス繊維であるファイバーポストで支台築造してあるようです。
画像中央左側の右上中切歯が打撲の衝撃で折れています。
その左隣の右上側切歯も折れている印象を受けます。
動揺はあるものの、それなりにしっかりとはしています。
しかし、硬いものは咬めず、時折においもするとのことで治療をご決断です。
局所麻酔後に抜歯鉗子でゆっくりと動かししてみます。
この角度まで動いても取れる気配はありません。
これはやはり、ファイバーポストが折れずに繋がっているためです。
ファイバーポストをカットしました。
残念ですが、折れている部分がレントゲン通りかなり深い部分であることが分かります。
処置前に起こりうる様々な状況をシミュレーションして、患者さんと何度も相談の上、始めるわけですが、
このケースにおいては顎骨と歯肉の形態の温存を目的に、折れた歯根を温存することを決定しました。
治癒形態としては歯肉で上部が完全に被覆されることを目標とします。(ろう孔無く)
口蓋側の割れが大きいです。
歯根上部を平坦に修正しました。
スペースメイキングのために骨移植材を填入します。
上部の保護のためにサイトプラストd-PTFEメンブレン(膜)を用います。(写真は骨移植材填入前です)
縫合しました。
1週間から10日後に抜糸し、メンブレンは6週間後に撤去します。
今後、両サイドの歯のかぶせものを除去して、ブリッジを製作する予定ですが、右上側切歯の状況によっては
治療方法を再検討する必要があります。
インプラント治療を前提としない場合には、効果のある手法です。
他の歯の状況が変わり、将来的にインプラント治療を行う必要があるとすれば、残っている歯根を抜歯することは充分に可能です。
今回のケースでも、折れている部分がもっと浅ければ、もう一度歯をかぶせることは充分に可能であったと思われます。
矯正治療的に挺出させて利用する方法も考えれられますが、口蓋側の破折量が大きいため断念しました。
I・Kさん、まずはこの部分が良好に治癒することを願っています。
もしよろしければ
広島市の歯科 三好デンタルオフィス
※厚生労働省 医療広告ガイドライン に沿うための記述
すべての歯科治療は、治療行為によって治癒や改善が約束されているわけではなく、状態の悪化や後遺症の発生、抜歯や死亡を招くリスクを伴います。※治療費用の例示・根管治療を伴う普通再治療約20万円(かぶせもの除去・メタルコア除去・根管治療・根管充填・レントゲン・支台築造・かぶせもの)・普通セラミックつめもの約6万円・普通セラミックかぶせもの約8万円・普通セラミック前歯約13万円・普通抜歯約1.7万円・普通レジン充填約1万円(税抜)