口腔外科処置広島
2013.9.12
右上第二大臼歯の抜歯 2013.09.12|抜歯手順を解説|広島
※外科処置の写真が含まれますのでご注意ください。
右上臼歯のミラー像です。
第二大臼歯の頬側歯肉に大きな「できもの」が出来ています。
これは瘻孔(ろうこう=フィステル)で膿の出口です。
大臼歯2本が連結されており清掃困難な形態です。
体としては歯を排出したくても連結されていて出来ない状態に陥り
膿を出す道筋を作っています。
CTによる断面像です。
根の先の病変は約10mmの径で上顎洞を押し上げ、
上顎洞炎粘膜の肥厚を招いている可能性があります。
炎症性病変が大きな歯をこのまま温存しておくのは問題ですので
ご説明の上、抜歯をご決断です。
連結冠ですから連結部の切断のためラバーダムをします。
スプリンティング(固定)のための連結行為自体は否定しませんが
連結部底面を清掃できない形態にすることと金属を用いることは問題です。
また、悪化した場合の発見を遅らせ、骨吸収や炎症を重症化させますので
注意が必要です。
連結部分を切断しました。
大量の金属切削片から口腔粘膜を保護します。
無事抜歯を終えました。抜歯自体は容易です。
抜歯窩です。頬側根があったところに大きな骨吸収があります。
抜歯窩から炎症性の肉芽組織をしっかりと掻爬(ソウハ=かきだす)します。
残ったままですと骨性の治癒の可能性が無くなり、今後の治療が困難です。
徹底的に掻爬して不良肉芽を除去します。
抗生物質の錠剤を砕いたものを挿入します。
いつものようにゼラチンスポンジを挿入して血液の貯溜を助けます。
香川県からお越しですので自然に溶ける吸収性の糸で縫合しています。
「できもの」は切除しています。
抜歯後のレントゲンです。からっぽである確認をします。
手前の第一大臼歯は金属除去と再根管治療を行います。
根尖部分は慢性炎症に起因すると思われる歯根吸収が進んでいます。
頬側です。被さっていた金属クラウンはグリップ時に取れています。
被せものセット時のセメント(白色)が歯根分岐部まで流入しています。
余剰セメント除去の重要性を改めて感じます。
歯根先端側から見たところです。頬側根取り囲むように肉芽が付着しています。
いかなる歯周外科処置でも不可能と私は考えます。
再根管治療を行っても根尖外の部分の改善がみられるとは私には考えられません。
—————————————————————-
弊オフィスにはかなり重症化なさった状態の方が多くお越しです。
残念ながら、その最も悪くなった歯が助かる可能性は低いことが多いです。
「なんとしてでも歯を残すように努力します」と言えば聞こえは良いですが
私は妻が同じ状態だったらどう伝えるかを判断基準にしています。
治る可能性の極めて低い歯にだらだらと治療をすることは
長期にわたる炎症と咀嚼障害が全身に対して害悪であると考るからです。
適切な判断をすることで、おくち・全身として総合的にプラスにすることが
歯科医師の役目だと私は考えています。
「木を見て森を見ず治療」であってはなりません。
私が妻にするのと同じ判断にご理解いただけない場合は
弊オフィスでは治療をお断りしています。
(保険指定医療機関を辞退しています。)
両者が妥協して両者ともストレスを溜めながら治療をすすめることは
双方に苦痛しか残さないと思います。
—————————————————————-
N・Cさん、香川県からのお越しに恐縮いたします。
N・Cさんのように覚悟してお越しの方には、
私たちもいつもどおり最大級の覚悟で治療に臨みますので
ゴールまで頑張っていきましょう!
三好デンタルオフィス