口腔外科処置広島
2025.10.25
折れていた上顎前歯2本を抜歯して骨増生(骨造成)処置しました。2025.10.25|歯根破折

広島市の自由診療専門歯科 三好デンタルオフィス 代表 三好龍治です。
I・Sさんの左右の上顎中切歯2本が歯根破折を起こし炎症が起きています。
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デンタルレントゲン写真です。
歯根が折れている部分に対応して周囲の骨が溶けています。
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歯科用CTによる立体画像です。
骨の支えが減っていることが判ります。
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歯科用CTによる矢状断です。右上中切歯(右上1)の断面です。
歯根の先端(根尖:こんせん)部分に黒い透過像があり根尖病変が存在しています。
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左上中切歯(左上1)の断面です。
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このケースの様に歯根が折れている場合、
治療の選択肢として
1,折れている部分を取り除き、歯を引き出す方向へ矯正治療(挺出:ていしゅつ)を行い、
支台築造+かぶせものをセットする。
→短い歯根で支えることになる。
→歯の断面積が小さくなり、再び歯根破折する可能性がある。(神経を取る処置後の年数が長いほど既に脆くなっている)
2,抜歯後、隣接する歯を1本もしくは2本を土台としてしてブリッジ(歯の無い部分を橋渡しする修復物)を作成する。
→隣接する歯を切削する必要性がある。
→土台とする歯に負担がかかる。
→両隣接歯に接着して橋渡しする接着性ブリッジは不意に取れる可能性あり。
3,抜歯後、着脱式の入れ歯を作る。
→目立つ目立たないに関わらず隣在歯に負担をかける。硬い食べものは避けざるを得ない。
→レジン系素材であるため着色したりプラークに汚染されやすい。
→心理的に歯を見せられなくなり笑顔を失い、生活の質を落とす可能性あり。
4,抜歯後、インプラント治療を行う。
→隣接する歯に負担をかけない。
→治療の審美的難易度が高い(特に前歯のインプラントは難易度が高い)
→抜歯即時インプラント埋入が出来ないケースでは外科処置が複数回必要
(炎症と骨欠損の大きなI・Sさんのケースでは抜歯即時インプラント埋入は適さないと判断しました)
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仮にI・Sさんのケースが、外傷によって神経が生きている歯(生活歯)が折れて、なおかつ若年者の方でしたら
挺出させる作戦も候補に挙がりますが、神経の処置後、長い年数が経過していることから
今後の長期の安定を考えて、抜歯とインプラント治療をご選択です。
抜歯時には骨欠損を回復するために骨増生処置を行います。
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いよいよ本日抜歯と骨増生処置を行います。
前日に前歯の修復物が取れたとのことです。
接着性ブリッジでは同様に突如脱落するリスクがあります。
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割れた部分(破折片)が口蓋側に移動しています。
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取れた歯です。
いわゆる差し歯が連結されています。(連結冠)
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破折した歯では内部が汚染されていきます。
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取れた歯を利用して仮歯の参考にします。
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突起(コア)部分を切削し、仮想的な元の位置に戻し、ゴム状のプラスチックで仮歯固定用のウイングを作ります。
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シリコンゴムで型取りして、仮留めした歯を外し、シリコンゴム内部にレジンを流し込み仮歯を製作します。
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青い光を照射してレジンを硬化させている場面です。
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仮歯のベースが出来ましたので、いよいよ外科処置をスタートします。
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まずは左上中切歯(左上1)を抜歯しました。
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続いて右上1を抜歯しました。歯根の先端に膿の袋(根尖病変)が付いて出てきました。
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抜歯した歯根とかけらです。
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抜歯した穴(抜歯窩:ばっしか)は本来、骨だけが見えるはずですが、
炎症が起きているこのケースでは骨が溶けて上部には炎症性の肉芽組織が存在しています。
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骨を造る骨増生(骨造成)処置を行いますので粘膜を剥離して骨の状態を確認します。
粘膜弁と肉芽組織が連続して存在しています。
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肉芽組織を取り除きました。
骨が溶けてくぼみとなっています。
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このケースでは骨を垂直的に増生したいので、コシのあるバリアメンブレン(遮断膜)を用います。
d-PTFE膜であるサイトプラスト(Cytoplast)をトリミングし、唇側の底部にボーンタックで2ヶ所固定しました。
遮断膜を用いて骨増生する手法をGBR(Guided Bone Regeneration)と呼びます。
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バリアメンブレンの設置を終えましたら骨移植材を準備します。
早く骨に成りやすいタイプと長期に渡って吸収されないタイプの2種類の骨移植材をミックスして使用します。
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骨欠損部位にミックスした骨移植材を填入しました。
填入前には歯槽骨表面の皮質骨に穴を開け(皮質骨穿孔:デコルチケーション)
骨髄性の出血を促し治癒促進を図ります。血液供給がGBRの治癒の要です。
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表面追従性の高いコラーゲンメンブレン(吸収性のコラーゲン膜:これも遮断膜)で保護します。
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粘膜弁に骨膜減張切開を行い伸展性を確保し、抜糸不要な吸収性の縫合糸で縫合閉鎖します。
引きつりのないテンションフリーな状態で縫合します。
伸展性を確保して縫合閉鎖すると、角化粘膜が減り、上唇小帯が高位になりますので、
インプラント埋入時に上唇小帯の付着位置をカットして修正します。
本日は縫合して閉鎖することを優先します。
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本日の開始時に製作したウイング付き仮歯を調整して両サイドの歯に固定しました。
咬合調整して下顎前歯との接触を減らしています。
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治癒期間は6ヶ月とし、その後インプラントの埋入オペを行います。
インプラントの埋入オペ時に遮断膜を撤去します。
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インプラント埋入後には1.5~3ヵ月の治癒期間が必要ですので、抜歯から起算して7.5~9ヵ月間かかります。
現在はインプラント治療の技術が進歩したことで抜歯即時インプラント埋入オペが可能なケースが増えてきました。
抜歯即時インプラント埋入が可能な場合、通常3か月後にはインプラントに仮歯をセットすることが可能です。
炎症が進んで骨の状態が悪くなっていると抜歯即時インプラント埋入は適応外となり、
骨増生処置の費用も必要になってしまいますので、適切なタイミングの判断が重要です。
※炎症が進んで骨の状態が悪くなっていたこのケースでも、抜歯即時埋入オペが完全に不可能ということではありません。
ただし、予定通りに治癒しなかった場合、インプラントを撤去して、そこから改めて骨増生処置を行わなくてはならないため
失敗した場合のリカバリーがさらに難しく、期間も長くなってしまいます。
急がば回れと言えます。
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I・Sさん、初回から最高難度の処置となりましたが、よくぞ乗り越えられました。
炎症部位が無くなり、全身状態にも良い影響をもたらすと考えます。
腫れたり青アザが出るかもしれませんのでお大事に。
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広島市の自由診療専門歯科 三好デンタルオフィス