口腔外科処置広島
2026.4.3
歯根の先端にヤスリが折れて骨が溶けていた右上奥歯の抜歯 2026.04.03|膿の袋を取り除く

広島市の自由診療専門歯科 三好デンタルオフィス 代表 三好龍治です。
I・Yさんの初診時の歯科用CTによる立体画像です。
右上第一大臼歯の歯根の先端(根尖:こんせん)に炎症(根尖病変:膿の袋)が存在し、骨が溶けて透けています。
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実際の右上第一大臼歯(矢印)の写真です。
外観上の問題はありません。(頬側面観)
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口蓋側面観です。
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咬合面観です。
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初診時のパノラマレントゲン写真です。
神経を取ってある右上第一大臼歯にメタルコア(金属支柱)がセットされ、
その上にレジン系の被せもの(レジンクラウン)が被っています。
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歯科用CTによる断層撮影では炎症性病変のサイズが良く判ります。
上部に隣接する上顎洞にも炎症が波及し、上顎洞粘膜の肥厚もしくは粘液の貯留が起こっていると考えられます。(上顎洞炎)
上顎洞は4つある副鼻腔(上顎洞・前頭洞・蝶形骨洞・篩骨洞)のひとつです。
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頬舌側断面です。
頬側の歯根の周囲には炎症性の肉芽組織が存在していると考えられます。
おくちに炎症があると細菌が心臓の血管に到達し、悪影響を与えることが判っています。
また歯周病菌がアルツハイマー型認知症に関与しているという研究もあります。
I・Yさんは抜歯をご決断なさいました。
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顕微鏡の視野をビデオ録画して処置をスタートします。
局所麻酔の後、ヘーベル(エレベーター)で動かします。
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抜歯鉗子でグリップして動かしましたら、メタルコアから上部が外れました。
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脱落したメタルコアとレジンクラウンです。
周囲からのプラークの漏洩を示唆しています。
口臭の原因のひとつです。
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メタルコア脱落後の歯根の状態です。
中央部にドリルによる溝があることから、過去にメタルコアを分割して除去し、やり直していると考えられます。
つまり、本日脱落したメタルコアは少なくとも2代目以降と考えられます。
このような削りすぎは、顕微鏡下で行うことで防止出来ます。
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ここからは歯根を3分割(近心頬側根・遠心頬側根・口蓋根)して抜歯します。
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3分割しましたらヘーベルで動かします。
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抜歯鉗子でグリップして抜歯します。
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近心頬側根の先端から根管治療用のヤスリ(ファイル)の折れた物が突き出ていました。
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根管治療用のヤスリ(ファイル)が折れて残ったものです。
不用意な回転力をかけることでヤスリが折れて残ってしまいます。
汚染物質が残ったままの不適切な根管治療によって根尖病変が形成されます。
折れたヤスリが唯一の原因とは言えません。
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分割抜歯した右上第一大臼歯の歯根です。
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抜歯直後の抜歯窩の状態です。
炎症性の肉芽組織(にくげそしき:)が存在しています。
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歯科用CTの断層画像通りの肉芽組織が存在していますので鋭匙(えいひ)で掻爬(そうは:こさぎ取ること)します。
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口蓋根の先端の肉芽組織も掻爬します。
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掻爬した肉芽組織(膿の袋)です。
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掻爬を終えた抜歯窩の状態です。
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抜歯窩には骨移植材を填入して、骨吸収を最小限に抑え、治癒後のインプラント治療に備えます。(骨増生処置)
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骨移植材の填入を終えました。
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血液を吸わせたコラーゲンスポンジを掛け布団のように上部に乗せて縫合します。
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抜糸不要な吸収性の縫合糸で縫合しました。
(骨移植材・コラーゲンスポンジも生体に吸収・置換されるため取り出す必要はありません。)
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抜歯を終えた右上第一大臼歯とその周囲組織です。
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私は根管治療が大好きですが、
このような状態になってしまっている歯は再根管治療をしても治癒の見込みは限りなく低いと考えます。
治癒する見込みが著しく低く、費用をかけて再治療したとしても炎症が残るのであれば
それは心臓やアルツハイマー型認知症に対してリスクを残すこととなってしまいます。
1本の歯に執着するあまり、全身状態に悪影響を与えるとすれば本末転倒です。
根管治療の技術を突き詰めるほど、根管治療が万能では無いことを思い知ります。
神経を取った歯は、歯髄の血流による栄養補給が絶たれるため、
根管治療後約30年を区切りとして、割れたりヒビが入ったりする可能性が格段に上昇します。
その約30年のタイムリミットは、再根管治療をしても延びたり止まったりすることはありません。
歯を失いたくない患者さんのお気持ちも判りますが、
歯科医師としては的確な診断・アドバイスをする必要があります。
「抜歯」も立派な治療です。決して諦めや手抜きではありません。
ビジネスのために、治るかのごとく説明して希望を持たせることは弊オフィスでは絶対にありません。
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I・Yさん、よくぞご決断なさいました。
炎症部位が無くなり全身の健康に寄与出来て私も嬉しいです。
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広島市の自由診療専門歯科 三好デンタルオフィス