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※厚生労働省 医療広告ガイドラインに沿うための記述

すべての歯科治療は、治療行為によって治癒や改善が約束されているわけではなく、状態の悪化や後遺症の発生、抜歯や死亡を招くリスクを伴います。※治療費用の例示・根管治療を伴う普通再治療約20万円(かぶせもの除去・メタルコア除去・根管治療・根管充填・レントゲン・支台築造・かぶせもの)・普通セラミックつめもの約6万円・普通セラミックかぶせもの約8万円・普通セラミック前歯約13万円・普通抜歯約1.7万円・普通レジン充填約1万円(税抜)

口腔外科処置広島

2024.11.27

骨欠損のあった右下奥歯の抜歯・骨増生後2か月経過しました。2024.11.27|重度の歯周病

広島市の自由診療専門歯科 三好デンタルオフィス 代表 三好龍治 です。

初診時の右下奥歯の状態です。

矢印の右下第一大臼歯(右下6)舌側に大きな骨欠損が存在しておられ、受診されました。

※このアングルでは判りません。

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舌側面観です。

歯肉(歯ぐき)が赤ぼったく腫れぼったくなっています。

咬合面は歯軋りや食いしばりの調整のため、繰り返し形態修正が行われていると考えられ、

形態のモールドがほぼ無くなっています。(それだけ歯軋り・食いしばりがあった)

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右下第一大臼歯の周囲の骨が歯周病により溶けて骨欠損を起こしているデンタルレントゲン写真

デンタルX線写真です。歯根膜腔の拡大(歯と骨の間が広くなっている)が見られます。

ジルコニアセラミックはレントゲンに於いて金属と同じく白く写ります。(レントゲン不透過性)

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右下第一大臼歯の周囲の骨が歯周病により溶けて骨欠損を起こしているCT立体画像GIF動画

歯科用CTによる舌側面の立体画像です。

大きな骨欠損が存在していることが良く判ります。

ここまでに至る前の段階であれば、歯周病再生治療の対象と考えますが

難易度の高い3根性の右下第一大臼歯であり(一般的には2根性が多い)、歯根分岐部を大きく超える骨欠損であるため、

歯周病再生治療での効果が期待できない状態と判断しました。

抜歯後に骨欠損部分の骨増生処置を行い、治癒後にインプラント治療を行います。

「既に悪くなってしまったものは仕方ない、今後、他の歯がそうならないようにする」に尽きます。

ダメ元で歯周病再生治療を行うことも理論上は出来ますが、「やはりダメでした」では

噛めない期間が無駄に長くなり、費用もかかり、喜ぶのは歯科医師だけです。

私は、家族が同じ状態であったらどう治療するかだけを考えています。

経営上の駆け引きは職人気質故好みません。

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表面麻酔と注射による局所麻酔を行い、謹んで抜歯します。

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右下第一大臼歯の抜歯直後の写真

抜歯を終えました。

本来あるべき歯槽骨が溶けて、炎症性の肉芽組織が陣取っています。

この肉芽組織を切除と掻爬(そうは:こさぎ取る事)していきます。

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抜歯した右下第一大臼歯です。歯根の先端は、くの字に曲がっていましたので抜歯時に折れています。

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顕微鏡下で炎症性の肉芽組織の切除と掻爬を終えました。

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取り除いた肉芽組織との比較です。

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これだけの肉芽組織が常に歯の周りにあったということです。

歯周病による炎症は心臓に悪影響を与えることが判っています。

全身の健康のためには、膿んでいる口腔内の組織は出来るだけ無い方が良いと言えます。

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骨造成・骨増生処置に用いる非吸収性のメンブレン(膜)の写真

ここからは、抜歯後の骨増生処置を行います。

このケースでは骨欠損が大きいため、非吸収性のメンブレン(膜)を用いて骨再生のスペースメイキングをします。

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骨造成・骨増生処置に用いる非吸収性のメンブレン(膜)のサイズを調整している写真

まずはメンブレンのサイズ調整を行いました。

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骨移植材リフィットRFTデンタル®の写真

骨移植材を準備します。(リフィットRFTデンタル®)

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右下第一大臼歯抜歯後に骨移植材リフィットRFTデンタル®を填入した写真

抜歯窩(抜歯後のくぼみ)に骨移植材を填入しました。

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右下第一大臼歯の抜歯後に骨移植材を入れて、骨造成・骨増生処置用の非吸収性のメンブレン(膜)を設置した写真

先に準備しておいたメンブレンを入れ込んで保護します。

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右下第一大臼歯の抜歯後に骨移植材を入れて、骨造成・骨増生処置用の非吸収性のメンブレン(膜)を設置して、吸収性縫合糸で縫合した写真

抜糸不要な吸収性の縫合糸を用いて、最小限の縫合をしました。

遮断膜(メンブレン)が口腔内に露出したまま内部の骨増生を期待するオープンバリアメンブレンテクニックです。

メンブレンは約6週後に撤去します。

(抜歯・骨増生処置:2024.09.24)

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骨増生処置のために非吸収性メンブレン(膜)を設置して約6週後の状態の写真

約6週が経過した 2024.11.06 の状態です。

メンブレンの表面にはプラークが付着しますが、これが標準的な術後の経過です。

ブラシなどで清掃しようとするとメンブレンのズレや脱落を引き起こしますので、なにもしないことをお願いしています。

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骨増生処置のために非吸収性メンブレン(膜)を設置して約6週後の状態の頬側面観の写真

頬側面観です。

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骨増生処置6週後に非吸収性メンブレンを除去した直後の写真

メンブレンを撤去した直後の状態です。

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骨増生処置6週後に非吸収性メンブレンを除去して水洗した後の写真

水洗した状態です。

表面の赤い部分は類骨組織と呼ばれ、表面は上皮化、内部は骨化していきます。

メンブレンが入っていた封筒状の部分は、すぐに組織が結合して治癒していきます。

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骨増生処置6週後に非吸収性メンブレンを除去して水洗した後の頬側面観の写真

頬側面観です。

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骨増生処置6週後に非吸収性メンブレンを除去後3週後(抜歯後9週)の写真

本日(2024.11.27)の状態です。メンブレン除去後3週です。(抜歯後9週)

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右下第一大臼歯抜歯と骨増生処置5か月後の写真

※2025.02.07 追記:抜歯後5ヶ月弱の状態です。

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抜歯後に骨増生処置を行うことで、廃用性萎縮による骨吸収と角化歯肉の減少を(非実施と比較して)防御することができます。

ソケットプリザーベーションと呼ばれる概念です。

インプラントオペは抜歯後4~6ヶ月後に行います。

骨が治りきっていない状態では、後々の経過に問題が発生する可能性がありますので「急がば回れ」です。

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W・Yさん、経過良好で私も嬉しいです。

インプラントで咬めるようになるまで、もうしばらくお待ちください。

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広島市の自由診療専門の歯科 三好デンタルオフィス

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