口腔外科処置広島
2024.11.27
骨欠損のあった右下奥歯の抜歯・骨増生後2か月経過しました。2024.11.27|重度の歯周病
広島市の自由診療専門歯科 三好デンタルオフィス 代表 三好龍治 です。
初診時の右下奥歯の状態です。
矢印の右下第一大臼歯(右下6)舌側に大きな骨欠損が存在しておられ、受診されました。
※このアングルでは判りません。
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舌側面観です。
歯肉(歯ぐき)が赤ぼったく腫れぼったくなっています。
咬合面は歯軋りや食いしばりの調整のため、繰り返し形態修正が行われていると考えられ、
形態のモールドがほぼ無くなっています。(それだけ歯軋り・食いしばりがあった)
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デンタルX線写真です。歯根膜腔の拡大(歯と骨の間が広くなっている)が見られます。
ジルコニアセラミックはレントゲンに於いて金属と同じく白く写ります。(レントゲン不透過性)
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歯科用CTによる舌側面の立体画像です。
大きな骨欠損が存在していることが良く判ります。
ここまでに至る前の段階であれば、歯周病再生治療の対象と考えますが
難易度の高い3根性の右下第一大臼歯であり(一般的には2根性が多い)、歯根分岐部を大きく超える骨欠損であるため、
歯周病再生治療での効果が期待できない状態と判断しました。
抜歯後に骨欠損部分の骨増生処置を行い、治癒後にインプラント治療を行います。
「既に悪くなってしまったものは仕方ない、今後、他の歯がそうならないようにする」に尽きます。
ダメ元で歯周病再生治療を行うことも理論上は出来ますが、「やはりダメでした」では
噛めない期間が無駄に長くなり、費用もかかり、喜ぶのは歯科医師だけです。
私は、家族が同じ状態であったらどう治療するかだけを考えています。
経営上の駆け引きは職人気質故好みません。
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表面麻酔と注射による局所麻酔を行い、謹んで抜歯します。
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抜歯を終えました。
本来あるべき歯槽骨が溶けて、炎症性の肉芽組織が陣取っています。
この肉芽組織を切除と掻爬(そうは:こさぎ取る事)していきます。
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抜歯した右下第一大臼歯です。歯根の先端は、くの字に曲がっていましたので抜歯時に折れています。
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顕微鏡下で炎症性の肉芽組織の切除と掻爬を終えました。
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取り除いた肉芽組織との比較です。
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これだけの肉芽組織が常に歯の周りにあったということです。
歯周病による炎症は心臓に悪影響を与えることが判っています。
全身の健康のためには、膿んでいる口腔内の組織は出来るだけ無い方が良いと言えます。
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ここからは、抜歯後の骨増生処置を行います。
このケースでは骨欠損が大きいため、非吸収性のメンブレン(膜)を用いて骨再生のスペースメイキングをします。
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まずはメンブレンのサイズ調整を行いました。
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骨移植材を準備します。(リフィットRFTデンタル®)
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抜歯窩(抜歯後のくぼみ)に骨移植材を填入しました。
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先に準備しておいたメンブレンを入れ込んで保護します。
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抜糸不要な吸収性の縫合糸を用いて、最小限の縫合をしました。
遮断膜(メンブレン)が口腔内に露出したまま内部の骨増生を期待するオープンバリアメンブレンテクニックです。
メンブレンは約6週後に撤去します。
(抜歯・骨増生処置:2024.09.24)
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約6週が経過した 2024.11.06 の状態です。
メンブレンの表面にはプラークが付着しますが、これが標準的な術後の経過です。
ブラシなどで清掃しようとするとメンブレンのズレや脱落を引き起こしますので、なにもしないことをお願いしています。
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頬側面観です。
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メンブレンを撤去した直後の状態です。
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水洗した状態です。
表面の赤い部分は類骨組織と呼ばれ、表面は上皮化、内部は骨化していきます。
メンブレンが入っていた封筒状の部分は、すぐに組織が結合して治癒していきます。
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頬側面観です。
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本日(2024.11.27)の状態です。メンブレン除去後3週です。(抜歯後9週)
抜歯後に骨増生処置を行うことで、廃用性萎縮による骨吸収と角化歯肉の減少を(非実施と比較して)防御することができます。
ソケットプリザーベーションと呼ばれる概念です。
インプラントオペは抜歯後4~6ヶ月後に行います。
骨が治りきっていない状態では、後々の経過に問題が発生する可能性がありますので「急がば回れ」です。
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W・Yさん、経過良好で私も嬉しいです。
インプラントで咬めるようになるまで、もうしばらくお待ちください。
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広島市の自由診療専門の歯科 三好デンタルオフィス
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以下、診療と関係のない余談です。
この記事は12月1日(日)に作成しています。
本日午前、私の暮らすマンションの臨時総会が近隣の貸会議室でありました。
私は当番で今期の理事をしています。
区分所有者が出席するのですが、
私たち理事と管理会社担当者さんを除けば、出席者は四捨五入で0になる人数です。
その中の一人の中高年男性が、彼自身の誤解による議事進行の揚げ足取りと、
管理会社担当者さんに侮辱的な発言をしました。
ご本人曰く不動産関係の職業とのこと。
やられたらやり返す性格の私は、大変なストレスを感じました。
職人仕事にストレスほど邪魔なものはありません。
出来事を思い出してのループは集中を妨げます。
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私の治療室においてはストレスを感じる器具や、ものごとは極力排除しています。
弊オフィスで治療を受けたいと思って下さる方に、無用なストレスなく私は全力で臨みたいのです。
、、、と、ここまで書いて来ましたら、私のブログを読んでくださるたくさんの方、
今画面の向こうにいらっしゃるあなたの支えを受けていることを実感できる心持ちになってきました。
礼節とマナーは他人を不快にさせないために重要ですね。
結果として自分に返ってきます。