口腔外科処置広島
2025.3.22
歯根破折した右下第一大臼歯の抜歯と骨増生処置を行いました。2025.03.22|割れた歯根
広島市の自由診療専門歯科 三好デンタルオフィス 代表 三好龍治です。
初診時の右下臼歯の写真です。
矢印の右下第一大臼歯が歯根破折を起こし、周囲の歯槽骨が炎症によって溶け、歯根が大きく露出しています。
口腔内の炎症は心臓に悪影響をもたらすことが判っており、膿は口臭の原因になります。
放置しておくことはデメリットだけと言えます。
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初診時のパノラマレントゲン写真です。(歯科用CT撮影時にパノラマ画像も得られます。)
神経を取ってある右下第一大臼歯割れて炎症を起こし、炎症に由来する肉芽組織の中に浮いているような状態です。
(右下親知らずは水平半埋伏していますので抜歯が必要です。)
(右上第一大臼歯の根尖部分には病変が出来ています。)
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歯科用CTによる立体画像です。クレーター状に大きな骨欠損が存在しています。
注釈を付けずとも、このまま放置することが問題であることはお判り頂けると考えます。
抜歯とインプラント治療に備えた骨増生処置を行うことをご決断です。
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局所麻酔後に慎重に抜歯します。
まずは大きい部分です。
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続いて遠心根の残りの部分を抜歯しました。
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神経(歯髄)を取った歯は経時的に脆くなっていきます。
その面では根管治療は歯の延命治療に過ぎません。
だからといって適当に治療して良いものではなく、術後のレントゲン写真は術者の技量や理念を測るのに役に立ちます。
すでに神経をとってある歯の運命は変えられませんが、今後他の歯の神経を取らないようにすることは出来ます。
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抜歯後の穴(=抜歯窩:ばっしか)には炎症性の肉芽(にくげ)組織が存在しています。
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鋭匙(えいひ=エキスカベータ)で肉芽組織を掻爬(そうは=こそぎ取ること)していきます。
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取り除いた肉芽組織です。
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抜歯窩から不良肉芽組織を取り除きました。
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頬舌側にはコラーゲン膜を置き、骨移植材(ボナーク®)を填入しました。
抜歯窩が凹んで治癒してしまうとインプラント治療が困難になるのを防ぐための骨増生処置です。
ソケットプリザーベーションと呼ばれます。
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骨移植材(ボナーク®)の填入を終えました。
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骨移植材の上にはコラーゲンスポンジを置いて、掛け布団のように保護します。
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溶けて無くなる吸収性の縫合糸で縫合しました。(抜糸不要です)
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5分間ガーゼを噛んで頂いた後の状態です。
約6ヶ月後にCT撮影を行い、骨の治癒状態を確認してインプラント治療を計画します。
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W・Jさん、よくぞご決断なさいました。
全身にとっても、プラスになるご判断だと考えます。
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広島市の自由診療専門歯科 三好デンタルオフィス