セラミック歯科広島
2025.9.16
レジン充填がなされていた右上第二大臼歯をセラミック修復しました。2025.09.16|レジンの問題点

広島市の自由診療専門歯科 三好デンタルオフィス 代表 三好龍治です。
H・Mさんの右上第二大臼歯をセラミック修復します。
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過去にコンポジットレジン修復がなされており、継ぎはぎのようになっています。
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コンポジットレジンは歯質よりも軟らかいため、咬合面に用いた場合、経時的に歯質よりも早くすり減って凹んでしまいます。(咬頭傾斜角が大きくなる)
すり減って凹んだ部分に、対合歯(噛み合う歯)が嵌りこむように歯が移動してきて咬み込みが深くなってしまいますので、
歯ぎしりや食いしばりが増える可能性があり、これを治療する際には対合歯の修正も必要になることが多いです。
つまり、凹んだ部分を治せば済む問題では無くなってきてしまいます。
咬合面の大きなコンポジットレジン修復は、安く済むように見えて、実は却って高くつく治療と言えます。
臼歯の咬合面に大きな面積でレジン系材料を用いるべきはないと思います。(私見です。合法的な治療法です。)
レジンは細菌付着性も高いため、そもそも口腔内に出来るだけ用いない方が良いと考えます。(私見です。合法的な治療法です。)
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いつものようにラバーダムを装着し、顕微鏡(マイクロスコープ)を降ろしてビデオ録画してスタートです。
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古いコンポジットレジンを全て取り除き、咬合面をセラミックで保護するための形成を行い、う蝕検知液で むし歯を染色します。
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出血するデリケートな部分をミネラル成分でパックします。
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スキャニングする準備が出来ました。
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セレックプライムスキャンでスキャニングし、セラミック修復物を迅速にデザインします。
赤くなっている部分が下顎第二大臼歯の咬み込みが強くなっている部分です。
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噛み合う右下第二大臼歯のデータです。
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赤くなっている部分が上顎第二大臼歯に食い込んでいる部分であり最終的に咬合調整する部分です。
あくまでも理論上ですが、コンポジットレジン修復を避けていれば、修正する必要が無かった可能性もある部分です。
歯科治療は上下左右のバランスと、長期に渡って安定であることが大切と考えますので、
私が必要と考える部分の咬合調整は説明の上、行います。
患者さんが、何が何でもどうしても削りたくない場合は治療をお断りしています。(私の診断と合致しないため)
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セラミックブロックからセラミック修復物を削り出します。
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焼成すると歯冠色になる e.max®CAD を用います。
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セラミック修復物の削り出しを終えました。
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口腔内で試適します。
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接触圧と適合の確認をします。
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裂溝のディテールアップと研磨を行い、840度で約20分間真空焼成します。
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焼きあがったセラミック修復物の内面をフッ化水素で酸処理します。
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3段階の接着処理を行い、乾燥状態のもとでレジンセメントで接着します。
光照射してレジンセメントを硬化させている場面です。
セラミック修復することで、口腔内に露出しているレジンの量を、継ぎ目の目地部分だけに減少させることができます。
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無事にセラミック修復物の接着を終えました。
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セラミック修復物のセット後、咬合紙を咬んでもらい、赤いマークを付けます。
デジタルデータでのマークと同じ部分がマーキングされており、この部分を慎重に修正します。
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咬合調整と仕上げ研磨を終えました。
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確実なセメント除去を行うため、治療直後は歯肉が傷ついています。

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この歯のように中高年の方の歯を保護する目的での治療は、人工股関節に置き換えるような治療と考えています。
歯科治療に対する不信感は「削りたくない・抜きたくない」となって現れ、本来必要な処置を妨げることがあります。
プロの術者(職人)としては、自分が必要と考える処置が出来なくなるため、こうしてブログを書いて啓蒙しています。
おかげさまで、最近はこのようなストレスから解放されています。
「出来るだけ削らない・出来るだけ抜かない治療」は当然のことであって
当たり前のことをわざわざ喧伝しないといけない歯科医療業界は根本的な問題があると言わざるを得ません。
解決策は、治療ステップを写真に撮り、さらに録画してご説明し、ブラックボックスを無くすこと、
これに尽きると考えますので、弊オフィスではそうしています。
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H・Mさん、喜んでいただけて私も嬉しいです。
この歯が長持ちすることを願っています。
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広島市の自由診療専門歯科 三好デンタルオフィス